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CASE03

繊維加工技術を、医療に役立てる。 繊維加工技術を、医療に役立てる。

PROFILE PROFILE

ニッケグループが展開する事業の一歩先にある成長分野を研究開発領域とし、
既存事業の拡大や新規事業の開拓をミッションに掲げる研究開発センター。渡邊は2019年4月よりセンター長に就任。
早乙女、中村、松野の3名は細胞培養用ゼラチン繊維基材「Genocel(ジェノセル)」の研究開発を担当。
それぞれ大学に派遣され、大学内で研究を行っている。ちなみに渡邊と中村は製造出身。

ゼラチチンを綿にする!? ゼラチチンを綿にする!?

早乙女
「ゼラチンで腰強い綿をつくれませんか?」細胞培養用ゼラチン繊維基材「Genocel」の研究開発は、大学の教授から持ちかけられた相談からスタートしました。教授曰く、ゼラチンを繊維状にして立体に編み、強度のある綿ができれば、細胞にとって居心地の良い家をつくることができるとのこと。ゼラチンは生体適合性が高いこともあり、実現できれば再生医療分野などへの応用が期待できます。2015年当時、医療分野で研究開発テーマを模索していた研究開発センターにとっては、絶好のチャンス。しかし、長きにわたって繊維加工の要素技術を磨いてきたニッケにおいても、ゼラチンを繊維にし、強度のある綿にするノウハウはありません。長年、切望され、過去にも何社かに同様の相談をされたことがあったようですが、実現困難であったとのことでした。相談を持ち帰った私は「こうすればできるかも」という今までの知見から生まれる勘を頼りに検討を開始。すると、試行錯誤のさなかにできた粉状のものの中に、わずかに繊維のようなものがあることを発見しました。その時点では、それが繊維になり、強度のある綿になるとは周囲の誰もが思っていませんでした。しかし、当時のセンター長の「やってみなさい」という一声で、研究を続行することに。その後、周囲のサポートなども受け、実現へとこぎ着けました。

”日本初”の機械を導入する。 ”日本初”の機械を導入する。

中村
とは言え、まだスタートラインに立つことができただけ。私たちはこのGenocelを事業化するために、さらなる用途開発に取り組みました。そのうちのひとつが、細胞シートキャリアとしての用途です。細胞シートとは、細胞をシート形状に培養したもので、それを病気や怪我の患部に貼り付けて治療をする研究が行われています。しかしこの細胞シートは非常に柔らかく、患部に移植する際にはキャリアが必要となります。従来のキャリアは生体適合性がないため、移植後にキャリアだけを取り除く手間がありましたが、Genocelもキャリアとして用いることができ、加えて材料が生体適合性の高いゼラチンのため移植後に取り除く必要はありません。この機能を再生医療学会で報告したところ興味を持っていただき、ユーザーを獲得。事業としても一歩前進しました。

研究の成果を世界へ。 研究の成果を世界へ。

松野
Genocelは世に出て間もないこともあり、改善の余地が多くあります。そのひとつが、細胞によっては、うまくGenocelにとどまらず、流れ出てしまうことがある点です。どの細胞培養基材でも課題となる点ですが、Genocelは後発品であるため、既存の基材以上に高効率に細胞が留まり、培養できることが必要です。そこで私が取り組んだのは、Genocel内に細胞をとどめ、安定的に培養する方法の確立です。Genocelは、既存の基材にはなかった有用な特性を持ち、形状も異なります。よって、既存の基材の培養方法がそのまま適用できるとは限りません。私はさまざまな方法を比較し、ベストな方法を導き、研究の成果を論文化しました。大学の教授をはじめ、上司や中村さんや早乙女さんのサポートがあってこそ、論文を完成させることができました。私たち3人は各々、研究成果を論文化しつつあります。当論文により、Genocelひいてはニッケの業績に貢献できれば嬉しく思います。

革新は、好奇心から生まれる。 革新は、好奇心から生まれる。

渡邊
Genocelは細胞を三次元培養できる上、内部に培養された細胞が死ににくいという特徴を持つオンリーワンの細胞培養基材です。この特徴を活かすことで、小さな臓器であれば作製することだってできるかもしれない。そうなれば新薬開発の現場に役立てることができますし、開発コストの低減やスピードアップを実現することができます。さらには注目を集める再生医療の分野でも、さまざまなシーンで応用可能だと思います。このようにGenocelは医療の発展に大きく貢献できる可能性を秘めています。ニッケが培ってきた繊維加工の要素技術を発展させ、医療という未知のフィールドでこのGenocelを形にできた大きなポイントは「好奇心」です。メンバー全員が好奇心を持って、とにかくやってみようという姿勢で取り組んだことがこの結果に繋がりました。面白いと感じることは、失敗を恐れずチャレンジすればいい。研究開発センターでは、これからもその精神で研究開発に取り組み、社会に貢献していきたいと考えています。

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