ENTRY ENTRY

宮本 弘毅

PROFILE 宮本 弘毅 PROFILE 宮本 弘毅

学生時代には化学から生物へ、入社後も工場の生産・品質管理から研究開発へ。常にフラットな視点で、興味や可能性を感じる方向へ迷いなく突き進む性格。新たなステージでも、これまでの経験をうまく活かしながら活躍している。

LIFE & CAREER 01

得意分野より、可能性を感じる分野へ。 得意分野より、可能性を感じる分野へ。

大学へ進学した当時は、教師になることを夢見ていました。ところが研究室に入ってから思いが一変。研究の楽しさに目覚め、モノづくりに携わりたいと思うようになりました。さらに大学の講義の中でバイオに興味がわき、大学院ではバイオコースを選択。生物は苦手分野。その道に進めば苦戦をすることはわかっていましたが、それよりも生物の可能性を追求したいという思いの方が強かったんです。もともと、興味のあることには、後先考えずにチャレンジするタイプです。だから苦手だからやらないという選択肢は自分の中にはありませんでした。就活にあたっては、化学の分野でモノづくりができる企業を軸に探しました。研究職に絞り込むと業界や分野が限定され、視野が狭くなる気がしたので、あくまでも「モノづくりができること」を重視。そんな中で出会ったのがニッケです。事業フィールドが広く、研究開発センターでは繊維以外の領域へも挑戦を試みていることを知り、大きな可能性を感じました。

LIFE & CAREER 01

LIFE & CAREER 02

120年の歴史にない色をつくる。 120年の歴史にない色をつくる。

最初の配属先は岐阜工場の染梳(せんそ)課。岐阜工場はウールやポリエステルの原綿から糸をつくる紡績工場です。染梳課の役割は原綿の染色と梳毛。梳毛とは原綿を梳(す)いて縮れを伸ばすこと。染めて、梳いたものに撚りをかけることで糸にしていきます。そんな染梳課において、私は生産技術者として生産・品質管理を担当。コスト削減を目的とした染料および助剤の切り替えや、新色の色出しを担うことになりました。新色の色出しとは、お客様が要望される色の糸をつくることです。紺色だけでも何千色もあると言われる染色の世界。120年の歴史をもってしても、手掛けたことのない色は無数にあります。それだけ奥深い世界なので、要望通りの色を出すのは至難の業。お客様からサンプルとなる生地をもらい、そこから糸を取り出し、さらにその糸を解いて綿にして、どんな色の配合で構成されているかを顕微鏡で調べるところから始めます。そうして試作を繰り返し、要望される色に少しずつ近づけていくわけです。このシビアなモノづくりを通して、その奥深さや面白さに加え、納期・品質・コストの重要性を学びました。

LIFE & CAREER 02

LIFE & CAREER 03

現場での学びを、研究開発に活かす。 現場での学びを、研究開発に活かす。

入社3年目に研究開発センターへ配属になりました。研究開発センターでは、衣料繊維の製造技術をはじめ、不織布技術、紡糸技術、組紐技術など、多岐に広がるニッケの要素技術をベースに新技術・新商品を創出し、将来の事業に繋げることをミッションに掲げています。私は同センターで、メディカルや高機能素材等の分野の研究開発に携わっています。私の仕事は、要求事項の確認→アプローチ検討→試作→評価→改善のPDCAを繰り返し、製品化を実現すること。例えばメディカル分野においては、生体適合性のある天然素材を用いたフィラメント糸の開発等を担当。高機能素材については、リサイクルされた炭素繊維の加工技術開発等を手掛けています。ラボでの研究において、私が心がけているのは量産段階を想定してアプローチすることです。ラボで手間をかけて良いものがつくれたとしても、現場での生産を考えたときに現実的ではない場合もあります。そうならないよう、染梳課で学んだことを念頭に置きながら研究開発に取り組んでいます。

LIFE & CAREER 03

LIFE & CAREER 04

LIFE & CAREER 04

失敗の中に見つけた可能性。 失敗の中に見つけた可能性。

天然素材を用いたフィラメント糸の開発を目指して研究に取り組んでいたときに、紡糸に失敗した素材の中に面白い形状をしたものを発見したんです。これを再現することはできるのだろうか。ふとした興味から研究を続けてみた結果、ある条件の範囲でその現象が起きることを発見。上司に相談したところ「面白い現象だから、特許を出してみてはどうだろう?」という話になったんです。特許を出願するのは初めてのこと。大変ではありましたが、周囲の方々の協力を得て無事に出願することができました。さまざまなテーマで研究開発に取り組む中で、まだ製品化できたものはありません。しかし、今回の件でようやく一歩前進することができました。紡糸技術を確立し、生体適合性のあるフィラメント糸がつくれるようになれば、医療の発展に大きく貢献できます。リサイクルが難しかった炭素繊維の加工技術を確立できれば、世界的に意識の高まるSDGsにも貢献できる。この一歩を、ニッケと社会の発展に繋げるために。これからも常に広い視野で、可能性を追求していきたいと考えています。

LIFE & CAREER 04