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CASE01

印南工場を、世界一の毛織物工場へ。 印南工場を、世界一の毛織物工場へ。

PROFILE PROFILE

近藤は印南工場の工場長(現在は製造統括部長)としてプロジェクトを牽引。
織物作りの最終工程を担う森田と樹下は、プロジェクトの推進役として抜擢された。
一方、梶谷は現場から一歩離れた客観的なポジションでプロジェクトの舵取り役を担当。

120年の歴史をアップデートする。 120年の歴史をアップデートする。

近藤 近藤
印南工場を世界一の毛織物工場にする。創立130周年に向けての中長期ビジョン「RN130ビジョン」の策定にあたり、印南工場においても将来を見据えた目標を設定し、その実現に向けたプロジェクトがスタートしました。私たちの手掛ける毛織物は、従業員が保有する技能・技術で成り立っていると言っても過言ではありません。例えば、主力商品であるユニフォームは、毎年同じものを、同じように提供しなければなりません。しかし、原料となる羊毛は二つとして同じものはありません。そこを職人技のごとく従業員の技能・技術によって実現してきたわけです。一方で時代が進むにつれて労働力の確保が困難に。さらには学生服のバリエーションが増えるなど、多品種かつ小ロット生産を求められるようにもなってきました。このような状況下において世界での競争力を高めていくためには、連続化・装置化による生産体制の構築が不可欠。属人的なモノづくりから抜け出し、労働者にも優しい工場をつくりあげる必要がありました。120年という長い年月をかけて積み上げてきたものを変えていく。そのためには工場全員の意識から変えていく必要がある。みんなが同じ方向に向かって挑めるよう、プロジェクトには工場の従業員全員が参加。スピードやイノベーションが求められるオフェンシブなパートは、過去にとらわれることなくフラットな視点で取り組むことができる若手を任命しました。

”日本初”の機械を導入する。 ”日本初”の機械を導入する。

森田 森田
私に課せられたミッションは、最新鋭の設備を導入し、高い品質のモノづくりを安定供給できる生産体制を構築すること。印南工場が目指す連続化・装置化を実現する上で重要な役割を担うことになりました。「連続ロープ洗絨機」も、私が導入に向けて取り組んだ設備の一つ。同設備は、織物を連続的に洗浄する中で、毛織物特有の風合いを作り出す設備です。印南工場では “バッチ式洗絨”と呼ばれる、昔からある1単位ごとの加工方法で行っていました。この“バッチ式洗絨”は、1回の洗絨ごとにバラつきがあり、品質を安定させるためには職人の技術やノウハウが不可欠でした。これを連続ロープ洗絨機に入れ替え、工程を連続化できれば、技術やノウハウに依存せず、高い品質の織物を安定供給できるモノづくりが期待できます。しかし、それはあくまでも想像上の話。そもそもこの設備は開発されたばかりであり、世界的に見ても導入している企業は数える程度。もちろん国内には導入されておらず、毛織物に使用するのも初の試み。私は日本初となるこの設備の導入を見極めるために、製造元であるイタリアへ直接足を運んで、現地で試験を実施。さらに日本へ戻ってからも現地へ生地を送り、追加試験を重ねることで、日本初の機械を導入することができました。

職人品質を機械で再現する 職人品質を機械で再現する

樹下 樹下
性能の高い設備を導入しても、生産ラインで活かせなければ意味がありません。120年もの年月をかけて磨き上げてきた技術によって成り立つモノづくりを、設備の性能を活かしてどう実現していくか。そのためには、設備の性能を分析し、細かくチューニングすることで実際の生産ラインに落とし込んでいく必要がありました。今回のプロジェクトにおいては、「連続ロープ洗絨機」の他にもさまざまな設備を導入しています。私が担当した「連続釜蒸絨機」も、連続ロープ洗絨機と同様のイタリア製で、毛織物生産に導入するのは日本初。私は現地の外国人技師に設備性能や操作方法などについて逐一相談をしながら実稼働に向けた試験に取り組みました。お客様の求める品質を、生産ラインの中で安定的に供給できる。それをクリアしてこそ“職人品質”を機械で再現できたと言えます。これまでの経験を活かし、試験を重ねた結果、連続釜蒸絨機は整理課の中心的な生産設備として、日々安定したモノづくりを行うことが出来ています。

印南工場の進む道を示す羅針盤 印南工場の進む道を示す羅針盤

梶谷 梶谷
設備の導入には数千万円から数億円という投資が発生します。現場は導入を強く希望したとしても、費用対効果を得られないものにゴーサインを出すことはできません。そこで導入に伴う減価償却費や固定資産税などのコストや効果の試算を行い、導入の可否を判断するための客観的な数値を出すのが私の役目です。また、「いくらコストを削減できたか」「歩留まりをどれだけ改善することができたか」など、導入後の実績も日々数値化。年間の目標に対する進捗を数字で示し、それをベースに行動計画を組み立てていきます。自分がはじき出した数字によって、現場やお金が動くことになる。大きなプレッシャーがかかる中で心がけているのは、常に客観的であること。情に流されたり、軸がぶれるようでは、印南工場の羅針盤としての私の役割は務まりません。私たちの挑戦は、まだ始まったばかり。世界一の毛織物工場。ただ、その一点を目指して。みんなの後方から進むべき道を照らしていきたいですね。

世界にノウハウや技術を発信するマザー工場へ。 世界にノウハウや技術を発信するマザー工場へ。

近藤 近藤
他社と同じことをしていては、世界一の工場にすることはできません。そこで、印南工場では伝統で培った技術の中に、世界初の設備・装置を積極的に取り入れ、革新に挑んでいます。まさに伝統と革新の融合です。ただ、印南工場が世界一の工場になるだけで、ニッケが世界で勝てるとは限りません。ニッケが世界で存在感を発揮して勝負していくためには、グローバル・バリューチェーンのさらなる拡大が不可欠です。その中で印南工場の役割は、世界に広がるバリューチェーンに、マザー工場として世界一のノウハウや技術を発信していくこと。それが、私たちの目指すところであり、体現していくべき価値だと思います。印南工場の挑戦は、まだまだ始まったばかりです。

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